DMTは多くの植物に含まれており、飲用されている
ヤマハギ茶にはDMTが含まれており、薬草茶として用いられてきた
- 【弁8】後藤 實・野口友昭・渡邊武(1958)「植物中の子宮収縮成分の研究その2 ヤマハギ中の子宮収縮成分について(有用天然物成分の研究 第17報)」『薬学雑誌』第78巻第5号、 464-467頁
- ヤマハギの子宮収縮成分がジメチルトリプタミンと同定されたこと等
- 同意
- 検察側証人「検査方法が古くて信頼性が低い。現在ならアクセプトされない方法」
- ヤマハギの子宮収縮成分がジメチルトリプタミンと同定されたこと等
- 【弁9】落合雪野(2013)「茶外の茶 : 嗜好品と医薬品のはざまで」『東洋文化研究所紀要』第164巻、62-98頁
- 伝統的に茶外茶としてヤマハギ茶を飲用する文化があったこと、飲用による健康作用を期待する民間療法が背景にあること等
- 不同意:学術論文として認められない
- 伝統的に茶外茶としてヤマハギ茶を飲用する文化があったこと、飲用による健康作用を期待する民間療法が背景にあること等
ミカンやレモンにはDMTが含まれている
- 【弁10】Luigi Servillo, Alfonso Giovane, Maria Luisa Balestrieri, Domenico Cautela, and Domenico Castaldo. (2012). N-Methylated Tryptamine Derivatives in Citrus Genus Plants: Identification of N,N,N-Trimethyltryptamine in Bergamot. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 60(37), 9512–9518.
- 【弁11】蛭川立(監訳)「ミカン属植物中のN-メチル化トリプタミン誘導体:ベルガモットにおけるN,N,N-トリメチルトリプタミンの同定」
- 植物であるベルガモットの皮、果実、種子、葉にDMTが存在すること等
- 同意
- 検察側証人「ミカンジュースのDMTは薄くてすぐ分解されるので無害」
- 植物であるベルガモットの皮、果実、種子、葉にDMTが存在すること等
- 【弁12】Luigi Servillo, Alfonso Giovane, Maria Luisa Balestrieri, Rosario Casale, Domenico Cautela, and Domenico Castaldo. (2013). Citrus Genus Plants Contain N-Methylated Tryptamine Derivatives and Their 5-Hydroxylated Forms. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 61(21), 5156–5162.
- 【弁13】蛭川立(監訳)「ミカン属の植物はN-メチル化されたトリプタミン誘導体および5-ヒドロキシル化物質を含有する」
- レモン、オレンジ、ベルガモットを含むミカン属植物にDMTが存在すること等
- 同意
- 検察側証人「ミカンジュースのDMTは薄くてすぐ分解されるので無害」
- レモン、オレンジ、ベルガモットを含むミカン属植物にDMTが存在すること等
尿中に排出されるDMTについて
経口摂取したDMTは1日以内にほとんど排出される
- 【弁14】Jordi Riba, Ethan H. McIlhenny, Marta Valle, José Carlos Bouso and Steven A. Barker. (2012). Metabolism and disposition of N,N-dimethyltryptamine and harmala alkaloids after oral administration of ayahuasca. Drug Testing and Analysis, 4(7-8), 610-616.
- 【弁15】蛭川立(監訳)「アヤワスカの経口投与後におけるN,N-ジメチルトリプタミンとハルマラアルカロイドの代謝と排出」
- アヤワスカの経口投与後24時間中のDMTの尿中排出量、最初の8時間で測定された全DMTの95%以上が排出されたこと等
- 同意
- 検察側証人「サンプル数が少なくて信頼性が低い」
- アヤワスカの経口投与後24時間中のDMTの尿中排出量、最初の8時間で測定された全DMTの95%以上が排出されたこと等
- 【弁16】Michael C. H. Oon, Robin M. Murray, Richard Rodnight, Marion P. Murphy & James L. T. Birley.(1977). Factors affecting the urinary excretion of endogenously formed dimethyltryptamine in normal human subjects. Psychopharmacology, 54, 171–175.
- 【弁17】蛭川立(監訳)「健常被験者における内因性ジメチルトリプタミンの尿中排泄に影響する因子」
- 健常被験者の24時間尿検体からDMTが検出されたこと、8時間毎のDMTの尿中排泄量等
- 同意
- 検察側証人「研究が古すぎて信頼性が低い」
- 健常被験者の24時間尿検体からDMTが検出されたこと、8時間毎のDMTの尿中排泄量等
DMTは哺乳類の脳内で生合成される
- 【弁22】Jon G. Dean, Tiecheng Liu, Sean Huff, Ben Sheler, Steven A. Barker, Rick J. Strassman, Michael M. Wang and Jimo Borjigin. (2019). Biosynthesis and Extracellular Concentrations of N,N-dimethyltryptamine (DMT) in Mammalian Brain. Scientific Reports, 9, Article number: 9333.
- 【弁23】蛭川立(監訳)「哺乳類の脳におけるN,N-ジメチルトリプタミン(DMT)の生合成と細胞外濃度」
- ラットの脳がDMTを生合成、放出していること、心停止によりDMT濃度の増加があること等
- 同意
- 検察側証人「ラットの脳でDMTが合成されているとしても、ヒトの体内で合成されているという証拠にはならない」
- ラットの脳がDMTを生合成、放出していること、心停止によりDMT濃度の増加があること等
体内で生合成された内因性DMTは尿中にも排出される
- 【弁24】Robin. M. Murray and Michael. C. H. Oon (1967). The Excretion of Dimethyltryptamine in Psychiatric Patients. Proceedings of the Royal Society of Medicine, 69(11), 831-832.
- 【弁25】蛭川立(監訳)「精神病患者におけるジメチルトリプタミンの排泄」
- 内因的に生合成されたDMTの尿中排泄量は、健常者よりも急性精神病患者ではるかに高いこと等
- 同意
- 検察側証人「研究方法が古すぎて信頼性が低い」
- 内因的に生合成されたDMTの尿中排泄量は、健常者よりも急性精神病患者ではるかに高いこと等
- 【弁26】Steven A Barker, Ethan H McIlhenny, Rick Strassman (2012). A critical review of reports of endogenous psychedelic N, N-dimethyltryptamines in humans: 1955-2010. Drug Testing and Analysis, 4(7-8), 617-35.
- 【弁27】蛭川立(監訳)「1955年から2010年までの間に報告された内因性精神展開薬、N,N-ジメチルトリプタミンに関する批判的レビュー」
- 1955年から2010年までに実施された内因性DMTの研究に関する批判的レビューの結果等。
- 同意
- 検察側証人「研究方法に一貫性がなく信頼性が低い」
- 1955年から2010年までに実施された内因性DMTの研究に関する批判的レビューの結果等。
アヤワスカ茶は薬物依存や精神疾患を改善する
- 以下、すべて不同意:裁判長は、医学的な有用性は争点ではないという意見を表明。
アヤワスカ茶はうつ病・自殺念慮を改善する
- 【弁20】Fernanda Palhano-Fontes, Dayanna Barreto, Heloisa Onias, Katia C. Andrade, Morgana M. Novaes, Jessica A. Pessoa, Sergio A. Mota-Rolim, Flávia L. Osório, Rafael Sanches, Rafael G. dos Santos, Luís Fernando Tófoli, Gabriela de Oliveira Silveira, Mauricio Yonamine, Jordi Riba, Francisco R. Santos, Antonio A. Silva-Junior, João C. Alchieri, Nicole L. Galvão-Coelho, Bruno Lobão-Soares, Jaime E. C. Hallak, Emerson Arcoverde, João P. Maia-de-Oliveira, and Dráulio B. Araújo. (2019). Rapid antidepressant effects of the psychedelic ayahuasca in treatment-resistant depression: a randomized placebo-controlled trial. Psychological Medicine, 49, 655–63.
- 【弁21】蛭川立(監訳)「治療抵抗性うつ病に対する精神展開性アヤワスカの迅速な抗うつ作用:無作為化プラセボ比較試験」
- 【弁28】Richard J. Zeifman, Fernanda Palhano-Fontes, Jaime Hallak, Emerson Arcoverde, João Paulo Maia-Oliveira, and Dráulio B. Araújo. (2019). The Impact of Ayahuasca on Suicidality: Results From a Randomized Controlled Trial. Frontiers in Pharmacology, 10, 1325.
- 【弁29】蛭川立(監訳)「自殺念慮に対するアヤワスカの影響:無作為化比較試験の結果」
アヤワスカ茶は薬物・アルコール依存症を改善する
- 【弁18】Gerald, Thomas, Philippe Lucas, N. Rielle Capler, Kenneth W. Tupper, and Gina Martin. (2013). Ayahuasca-assisted therapy for addiction: Results from a preliminary observational study in Canada. Current Drug Abuse Reviews, 6(1), 30-42.
- 【弁19】蛭川立(監訳)「薬物依存に対するアヤワスカ補助療法:カナダにおける予備的観察研究の結果」
- アヤワスカを用いた支援療法によりタバコ、アルコール、コカインの依存症に有意な改善をもたらしたこと等
- (上記の論文は被験者が少数だが、下記の論文は2020年の時点での最新のシステマティックレビューである。パブリッシュされたのが2021年であり、京都地裁への提出は間に合わなかったが、大阪高裁で必要な場合には提出予定。)
- (Lucas Silva Rodrigues, Giordano Novak Rossi, Juliana Mendes Rocha, Flávia L Osório, José Carlos Bouso, Jaime E. Cecílio Hallak & Rafael G. dos Santos (2021). Effects of ayahuasca and its alkaloids on substance use disorders: an updated (2016–2020) systematic review of preclinical and human studies. European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience, 272, 541–556. (「物質使用障害に対するアヤワスカとそのアルカロイドの効果:前臨床試験およびヒトに対する試験のシステマティックレビュー(2016年から2020年までのアップデート)」)
アヤワスカ茶自体の毒性や依存性は低い
- 【弁30】Rafael G. Dos Santos, Flávia L. Osório, José Alexandre S. Crippa, Jordi Riba, Antônio W. Zuardi, Jaime E. C. Hallak (2016). Antidepressive, anxiolytic, and antiaddictive effects of ayahuasca, psilocybin and lysergic acid diethylamide (LSD): a systematic review of clinical trials published in the last 25 years. Therapeutic Advances in Psychopharmacology, 6(3), 193-213.
- 【弁31】蛭川立(監訳)「アヤワスカ、シロシビン、リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)の抗うつ、抗不安、および依存抑制作用:過去25年間に発表された臨床試験のシステマティックレビュー」
※検察側専門家証人は伊藤美千穂(京都大学大学院薬学研究科准教授)である。
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